軽度認知障害(MCI)とは何か、認知症とは違うのか?

軽度認知障害あるいはMCIという単語を耳にした事があるでしょうか?発症後は根本的な治療法が確立されていない認知症では、早期発見と予防が大切である事が近年知られてきていますが、それと同時に「認知症予備軍」という言葉もよく聞かれるようになりました。軽度認知障害(MCI)は、認知症予備軍と呼ばれる状態に含まれます。健常者と認知症の人の中間の段階としての症状、軽度認知障害(MCI)とは、認知症(記憶、決定、理由付け、実行など)のうち1つの機能に問題が生じていますが、日常生活には支障がない(自立)状態を指します。

軽度認知障害(MCI)の5つの定義

1 記憶障害の訴えが本人または家族から認められている。

2 日常生活動作は正常

3 全般的認知症は正常

4 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在す 

  る

5 認証ではない

軽度認知障害(MCI)になったらどうなるの?

軽度認知障害(MCI)の原因となる疾患を放置すると、認知機能の低下に続き、4年間で48%が認知症を発症してしまうと言われています。

厚生労働省は、認知症とその予備軍とされる軽度認知障害(MCI)人口は862万人存在すると発表しており、これは65歳以上の人口の4分の1人に該当します。

軽度認知障害(MCI)への予防

軽度認知障害から認知症へと症状が進行しないように予防するためには、認知機能を維持するための活動が有効です。つまり日常的に頭を使うことです。昨日低下する「エピソード記憶」「注意分割機能」「思考力(行動管理能力)」の3つの能力を鍛えるには、それぞれ次のような方法があります。


◎エピソード記憶を鍛えるには

・体験したことを、思い出にしましょう。今日したことを日記に書いたりしてみましょう。

◎注意分割能力を鍛えるには

・複数の物事を同時に行いましょう。

・複数人で雑談したり、いくつかの作業を平行して行ったりしましょう。

◎思考力(行動管理能力)を鍛えるには

・頭を使うゲーム(囲碁、将棋、オセロ等)や文章を書くことなど、思考力を鍛えるのに役立ちます。


早期発見の重要性

現時点では認知症は、完治することができない疾患と言われています。

そのため、軽度認知障害(MCI)の段階で認知機能の低下を発見し、予防対策を行うことで症状を遅らせる、又は症状を進行させないようにする事は、とても重要なことです。

こうした予防を適切に行うことで認知障害(MCI)になったとしても、認知症にならずに健康寿命でまっとうできることがあります。症状が進行してからではなく、軽度認知障害(MCI)の状態だからこそ、予防が有効になるといわれているため、自身の健康管理のためではなく、ご家族や大切な人のためにも、定期的なチェック(半年に一度程度)をしましょう。